重要事項説明書 解説シリーズ

外国人の不動産取得、国籍ではなく非居住者報告を確認

更新: 2026年8月23日監修: 小野 海士(宅地建物取引士・不動産実務15年)
外国人の不動産取得、国籍ではなく非居住者報告を確認

外国籍の買主が出てきたとき、土地を取得できるかを国籍だけで判断すると、確認の入口を誤りやすくなります。宅建業者の実務では、外国人土地法の仕組みと、外国為替及び外国貿易法(外為法)における居住者・非居住者の区分を分けて確認します。

この記事では、重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。を交付する前に、どこを確認し、何を案内するかを、取得後20日以内の報告期限まで含めて整理します。

アンちゃんアンちゃん外国籍の買主から土地を買いたいと聞かれました。外国人土地法があるので、取得できない前提で調べるんですか?

アンちゃんアンちゃん取得後20日以内の報告の話もありますよね。重要事項説明書では、国籍を確認すればいいんですか?

ケンさんケンさんそこは分けて考えるといいね。外国人土地法は法律自体が一律禁止する仕組みじゃない。報告の確認は国籍ではなく、買主が居住者か非居住者かで見るんだよ。

国籍ではなく、取得制限の仕組みと非居住者の報告を分ける

外国人土地法は、土地に関する権利について、勅令で禁止・条件・制限を付けられる仕組みを置いています。相互主義に基づく取扱いを勅令で定められること(第1条)と、国防上必要な地区で取得の禁止・条件・制限を勅令で定められること(第4条)を定めています。外国人土地法の第1条・第4条そのものが、外国人による土地取得を一律に禁止する規定ではありません。

一方、外為法では、本邦内に住所または居所がある自然人、本邦内に主たる事務所がある法人を居住者といい、それ以外の自然人・法人を非居住者と区分します。つまり、外国籍であっても国籍だけで報告の要否を決めるのではなく、この区分を確認します。

実務の手順は次の順です。1. 買主が自然人なら本邦内の住所または居所、法人なら本邦内の主たる事務所を確認し、居住者・非居住者を区分する。2. 取得する対象が本邦にある不動産そのものか、不動産に関する権利かを確認する。3. 非居住者による取得なら、取得日を確認する。4. 非居住者に対し、日本銀行を経由して財務大臣へ報告する手続を案内する。

非居住者による本邦にある不動産またはこれに関する権利の取得を、報告対象となる資本取引として掲げているのが外為法第20条第10号です。その取引を報告する者を非居住者としているのが、報告者を定めた外為法第55条の3第1項第12号です。

今回確認した資料では、この報告案内が宅地建物取引業法上の法定の重要事項説明として必ず必要かまでは確認できません。そのため、重要事項説明書の法定欄に決め打ちで記載するのではなく、取引実務上の留意事項として案内する位置付けを、社内の書式・運用で確認しておくといいです。

外国人土地法と外国為替及び外国貿易法の確認ポイント

確認する制度まず確認すること実務で押さえる結論
外国人土地法勅令による禁止・条件・制限の仕組み法律第1条・第4条自体を、一律の土地取得禁止として扱わない
外国為替及び外国貿易法買主が居住者か非居住者か国籍ではなく居住者・非居住者の区分で確認する
外国為替及び外国貿易法上の報告非居住者による本邦不動産等の取得日日本銀行を経由して財務大臣へ報告する手続を案内する
報告期限の取り違えに注意
非居住者が本邦にある不動産またはこれに関する権利を取得した場合、報告書は取得した日から20日以内に日本銀行を経由して財務大臣へ提出します。20日目が日本銀行の休日なら翌日までで、郵送では期限までの必着です。取得日を確認せずに案内を後回しにしないことが重要です。

✅ 外国籍の買主がいる取引での確認チェックリスト

  • 買主の国籍ではなく居住者区分を確認したか
  • 自然人の住所または居所を確認したか
  • 法人の主たる事務所の所在地を確認したか
  • 取得対象が不動産そのものか権利か
  • 非居住者による取得の日を確認したか
  • 取得日から20日以内の報告を案内したか
  • 法定の重要事項説明欄と決め打ちしていないか

アンちゃんアンちゃん国籍で線を引くのではなく、居住者か非居住者かを先に確認するんですね。登記簿の所有者情報も、重要事項説明書へ転記する前に見落としなく確認したいです。

アンちゃんアンちゃん書類を見ながら確認項目を整理できると、取得日や取得対象の聞き漏れも減らせそうです。

ケンさんケンさんanken.なら、登記簿や重要事項説明書などの書類をアップロードするとAIが読み取る。案件情報を一度入力すれば、重要事項説明書や売買契約書など20種を自動作成・連動できるから、確認した情報を書類ごとに入れ直さずに済むんだよ。

まとめ

実務者として押さえるべきは、外国人土地法を一律禁止の根拠として扱わないことと、外為法上の確認を国籍ではなく居住者・非居住者の区分で行うことです。非居住者による本邦不動産等の取得では、取得日から20日以内の報告手続を案内します。

2026年4月1日以降の取得では、不動産そのものを取得した場合は報告が必要とされ、不動産に関する権利は居住用・非営利目的業務用・事務所用で報告不要となる場合があります。取得対象を不動産そのものか権利かまで確認し、案内の精度を上げましょう。

この確認作業は、anken. では登記簿をアップロードするとAIが所有者などを読み取り、重要事項説明書の登記記録の欄に転記できます。

出典: e-Gov法令検索財務省

参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 不動産売買契約書 条項例集 / 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書 / 全日本不動産協会 重要事項説明書補足資料(令和7年4月)(作成時点)

この記事で参照した法令(e-Gov法令検索): 外国人土地法外為法 / 定めた外為法

小野 海士の顔写真
小野 海士
代表取締役 / 宅地建物取引士
株式会社オッティモ・不動産実務15年。実務に基づき、宅地建物取引業法・関係法令に沿って監修しています。
監修元株式会社オッティモ

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