広告表示規制の注意点

おとり広告の具体例から考える物件掲載の削除・更新実務

更新: 2026年8月12日監修: 小野 海士(宅地建物取引士・不動産実務15年)
おとり広告の具体例から考える物件掲載の削除・更新実務

広告を出した時点では取引可能でも、その後の成約や募集停止で状況は変わります。成約済みと判明した物件を広告から速やかに削除しないことは、おとり広告に該当すると示されています。

この記事では、おとり広告の3つの類型、成約・募集停止・申込みを受けた後に確認する順番、掲載を停止した後に再掲載する際の確認点を、広告管理の実務に絞って整理します。

アンちゃんアンちゃん更新予定日までまだありますが、成約済みになった掲載はそのままにできないですよね。インターネット広告の更新期間は最長でも2週間とされています。

アンちゃんアンちゃん申込みを受けたら、全部の広告をすぐ止める理解でいいんですか?

ケンさんケンさん申込みを受けたことだけで一律に止めるルールまでは確認できないね。ただ、申込みを受けたら取引状況を確認する合図にしておくといい。成約や募集停止で取引できなくなったと分かったら、掲載を落とす判断が早いんだよ。

おとり広告と判断される3つの類型と具体例

類型表示の具体例確認する取引状況
実在しないため取引できない物件表示所在地に物件が存在しない/実際に販売しようとする物件と内容・形態・取引条件等の同一性を認め難い所在地と、実際に取引する物件の内容・形態・取引条件等
存在するが取引対象となり得ない物件売却済みの不動産/処分を委託されていない他人の不動産成約の有無と、処分の委託を受けているか
存在するが取引意思のない物件合理的な理由なく案内を拒否する/難点をことさらに指摘して取引に応じず他物件を勧める当該物件を実際に案内・取引する意思があるか

申込み・成約・募集停止を受けた広告掲載の確認手順

1. 新規掲載時と更新時に、営業担当が取引状況を確認する。情報登録日又は直前の更新日と、次回の更新予定日も広告上部等の見やすい位置に明瞭に表示する。
2. 申込みを受けたら、営業担当が取引状況を確認し、掲載担当へ共有する。申込みの受領だけで広告を一律に停止するのではなく、取引可能性の確認につなげる。
3. 成約済みと判明したら、更新予定日を待たず、各掲載媒体から速やかに削除する。自社ホームページと不動産情報サイトも確認対象にする。
4. 募集停止が決まったら、当該物件が取引できる状態かを確認する。取引できないなら、掲載を停止する。
5. 掲載を再開する前は、新規掲載時又は更新時と同様に取引状況を改めて確認する。確認できないまま再掲載・更新しない。
よくある失敗:更新予定日まで成約済み掲載を残す
「次回更新予定日までは表示してよい」と考えるのは危険です。契約済みと判明した物件は、更新期間の満了前でも速やかな削除が必要とされています。掲載開始時には取引可能でも、契約後に削除せず更新を繰り返すと、取引不能な物件の継続掲載になります。 管理能力を超える多数物件の広告、担当者任せで責任者が確認しないこと、掲載時・更新時の取引状況確認不足は、おとり広告が生じた事案の発生原因として挙げられています。

アンちゃんアンちゃん掲載担当と営業担当で、成約・募集停止・申込みの情報を渡す場所を決めれば、削除判断が遅れにくそうです。

アンちゃんアンちゃん広告を消した後に再掲載する場合も、取引できるかをもう一度確認する流れにします。

ケンさんケンさんその運用が基本だね。anken.なら、案件情報を一度入力すると重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。や売買契約書など約20種を自動作成・連動できる。住所からは用途地域都市計画法に基づき、地域ごとに建てられる建物の種類や用途を定めた区分。住居系・商業系・工業系などがあり、建てられる建物が変わります。・ハザードを自動取得できて、対応データも拡大中なんだよ。登記簿、路線価図、重要事項説明書などの書類は、アップロードするとAIが読み取る仕組みだね。

✅ 広告掲載を停止する前後の確認チェックリスト

  • 成約済みと判明した物件を各掲載媒体から削除したか
  • 募集停止後も当該物件が取引可能な状態か
  • 申込み受領後に営業担当へ取引状況を確認したか
  • 自社ホームページの掲載状況を確認したか
  • 不動産情報サイトの掲載状況を確認したか
  • 情報登録日又は直前更新日を見やすく表示したか
  • 次回の更新予定日を見やすく表示したか
  • 再掲載又は更新前に取引状況を改めて確認したか

まとめ:掲載停止は「成約が分かった後」の処理にしない

実務者として押さえるべきは、実在しない物件、取引対象となり得ない物件、取引意思のない物件という3類型です。売約済み・成約済みの掲載を残すことや、当該物件を取引する意思がないまま他物件へ誘導することは、おとり広告の具体例として示されています。

広告について、対象物件の所在、規模、形質、利用制限、環境・交通等の利便、代金・借賃等を著しく事実と異ならせたり、実際より著しく優良・有利と誤認させたりする表示は禁止されています(広告の事実と大きく違う表示を禁じる宅地建物取引業法第32条です)。国土交通省も、売る意思のない物件で他物件の販売を図るおとり広告や、実在しない物件等の虚偽広告は同条で禁止されると、令和5年1月12日付通知で示しています。

また、不動産のおとり広告に関する表示は、自己が供給する不動産の取引に顧客を誘引する手段として、3類型の表示を不当表示として指定しており、昭和55年7月1日施行です。現行の不動産の公正競争規約も同じ3類型の広告表示を禁止しており、変更後の規約は令和7年8月26日施行です。詳細は専門家にご確認ください。

掲載中の物件は、成約や期限が来ると自動で公開が止まります。おとり広告の芽を仕組みで摘めます。

出典: 官公庁(caa.go.jp)e-Gov法令検索国土交通省

参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 重要事項説明書補足資料(令和7年4月) / 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書(作成時点)

この記事で参照した法令(e-Gov法令検索): 宅地建物取引業法

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小野 海士
代表取締役 / 宅地建物取引士
株式会社オッティモ・不動産実務15年。実務に基づき、宅地建物取引業法・関係法令に沿って監修しています。
監修元株式会社オッティモ
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