確定測量図・現況測量図・地積測量図の違いとは?新人向けに登記簿・公図の取り方も解説
3行でまとめ
土地の資料は、紙ごとに役目が違います。
面積は登記の記録、土地の形と並びは法務局の地図、境目の線は測量図で、分けて確かめます。
法務局では土地の番号で請求し、取った資料を並べて見比べます。
お客さんにとって何が困るか
売買前に、お客さんが知りたいのは「その土地がどこまでか」と「面積をどう考えるか」です。ところが、登記の面積、公図(土地の形や並び方と、土地ごとの番号を示した法務局の地図のこと)として扱う図面の形、測量図の線は、同じ役目の資料ではありません。1枚だけを見て説明すると、面積と境目の話が混ざります。
重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。(重説)は、契約前に土地や建物の大切な内容を説明する書面です。その土地の面積と境目について説明するときは、登記の記録と図面を分けて伝えます。登記の面積は水平に見た面積です。紙の上で土地が大きく見えても、それだけで所有権の範囲までは決められません。
特に注意したいのは、筆界と所有権界です。筆界は、土地が登記されたときに土地を区切る線です。所有権界は、所有権が及ぶ範囲を示す線です。両者は一致することが多い一方、一致しないこともあります。資料だけで境目を断定しないことが、説明の出発点です。
根拠:不動産登記規則第100条・不動産登記法第14条
アンちゃん登記の面積と、公図の線が見えれば、その土地の境目は説明できるんですか?
ケンさんそこは分けて考えよう。公図は、法務局にある地図や地図に準ずる図面を指して使われる言葉だよ。地図に準ずる図面は、現地を復元できるほど正確ではないものもある。重説では、登記の面積と図面の内容を見比べたうえで、資料だけで境目を決めないように説明するんだ。
具体例
法務局の窓口で、1筆の土地について資料をそろえる場面を考えます。まず、登記事項証明書(法務局が登記の記録の内容を証明した書類のこと)の表題部を見ます。昔からの呼び名で、登記簿謄本(登記簿は、土地や建物の場所・広さ・持ち主を記録した法務局の記録のこと)とも言います。表題部は、その土地の基本情報が記録される部分です。ここで所在、地番、地目(宅地・田・畑など、登記に書かれた土地の使い道の区分のこと)、地積を確認します。地番は土地を見分ける番号です。住居表示番号とは別の番号なので、住居表示だけでは請求できません。
次に、地図または地図に準ずる図面を見ます。地図では土地の区画と地番を見ます。地図に準ずる図面では、土地の位置、形、地番を参考として見ます。道路や水路のように見える部分も、図面だけで登記上の種類や管理者まで決めません。
地積測量図(土地の形と面積を測った結果をまとめた、法務局にある図面のこと)があるときは、地番、方位、縮尺、隣の土地の地番、地積、面積の計算方法、筆界点間の距離、境界標の表示を読みます。地積測量図は登記申請時に提出される図面で、すべての土地にあるわけではありません。古い地積測量図は、現地と一致しないことがあります。
確定測量図は、一般には、道路を含む全ての隣接地について、隣接地所有者などの立会いによる境界確認(隣の土地の持ち主などと、土地の境目がどこかを確かめること)を得て作られた測量図として扱われます。現況測量図は、今の塀・杭・建物などの状態を測った図面です。隣の土地の持ち主の立会いをしていないことが多く、境目が決まったことを示すものではありません。地積測量図という名前だけで、確定測量図だと決めません。
根拠:不動産登記法第34条・不動産登記規則第77条
3種類の測量図と登記資料の役割
| 資料 | 主な役目 | まず見るところ |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 土地の基本記録 | 表題部の地番・地積 |
| 地図または地図に準ずる図面 | 筆の位置と形 | 地番・筆界・方位 |
| 地積測量図 | 登記申請時の測量内容 | 求積方法・距離・境界標 |
| 現況測量図 | 今の塀や杭の状態 | 作った日・立会いをしたか |
| 確定測量図 | 隣の土地の持ち主と確かめた境目 | 境界確認書(隣の持ち主と取り交わした書類)がそろっているか |
調べ方
調査は、住所から始めても、最後は地番でそろえます。住居表示は建物の場所を分かりやすく示す番号です。地番は登記で土地を見分ける番号です。登記事項証明書、地図、地積測量図を請求するときは、ふつう地番で土地を指定します。
法務局の窓口では、「その土地の登記事項証明書と、地図または地図に準ずる図面を取りたいです。地積測量図が備え付けられているかも教えてください。地番は○○です」と伝えます。地図なのか、地図に準ずる図面なのかは、交付された資料名で区別します。
登記事項証明書と地図などの証明書は、窓口、郵送、オンライン請求で請求できます。オンライン請求をしても、証明書そのものは郵送または窓口で受け取ります。パソコン画面で登記情報や地図・図面情報を見たいときは、登記情報提供サービスを使えます。ただし、画面で見た情報やPDF保存した情報には証明文や公印が付かず、登記事項証明書の代わりにはなりません。
手元に資料がそろったら、表題部の地番と、図面に書かれた地番が同じかを最初に見ます。その後、登記の地積、公図上の筆の形、地積測量図の求積内容、現況測量図または確定測量図の境界線を順に見比べます。筆は、登記で区切られた一つの土地です。資料ごとの役目を崩さず、相違があれば相違した内容を説明に残します。
根拠:不動産登記法第119条・不動産登記法第14条
アンちゃん窓口では、「公図ください」だけで大丈夫ですか?
ケンさん資料名まで言おう。「その土地の地図か、地図に準ずる図面を確認したいです」と聞くんだ。地積測量図は、土地の面積を計算した内容や筆界点間の距離が書かれた図面だよ。「地積測量図が備え付けられているかも教えてください」と続ければいい。
アンちゃんその土地の登記事項証明書と、地図または地図に準ずる図面、地積測量図を確認したいです。地番は○○です、と伝えます。
ケンさんそれでいい。取った後は、登記事項証明書の表題部から地番と地積を読み、図面の地番と形を並べて見るんだ。
法務局で資料をそろえて見比べる手順
重説の書き方の例文
重説では、その土地の面積と境目に関する説明を置く欄に、何の資料を見たのかを分けて書きます。登記の地積だけを書いて境目まで決めたように見せないことが大切です。
記載例は、「登記事項証明書の表題部に記録された地積は○○平方メートルです。地図に準ずる図面は参考資料として確認しています。地積測量図は(備え付けあり〔○年作成〕/備え付けなし)です。資料のみから所有権界を断定するものではありません。」です。実際に手元にある資料の種類と記載内容に合わせて、○○の部分を埋めます。
確定測量図があるときは、図面の名称をそのまま示します。現況測量図があるときも、確定測量図と書き換えません。地積測量図があるときも、図面名だけから確定測量図と決めません。お客さんが面積の根拠と境目の説明を取り違えない書き方にします。
お客さんがよく気にするのは「登記の面積と、測った面積が違ったらどうなるか」です。売買には、登記の面積で代金を決めて差が出ても精算しないやり方(公簿売買)と、測った面積で差を精算するやり方(実測売買)があります。どちらにするかは売買契約書で決めるので、重説を書く前に契約書の案を先輩と確かめます。
根拠:不動産登記規則第77条
よくある失敗
よくある失敗は、住居表示番号のまま法務局へ行き、登記事項証明書や図面を取ろうとすることです。住居表示番号と地番は違います。登記事項証明書は請求する地番に基づいて発行されるため、地番が分からなければ発行できません。
もう一つの失敗は、公図の線を見て「ここが所有権の境目です」と言い切ることです。地図に準ずる図面は、現地を復元できるほどの精度や正確性がないものもあります。また、筆界と所有権界が一致しないこともあります。図面は位置と形を見比べる資料として使い、境目を断定する資料として扱いません。
根拠:不動産登記法第14条
✅ 法務局で取った土地資料の確認項目
- 住居表示ではなく地番で資料を請求したか
- 表題部の所在・地番・地目・地積を読んだか
- 地図か地図に準ずる図面かを資料名で分けたか
- 図面の地番・筆界・方位・縮尺を見たか
- 地積測量図の地積・距離・境界標を見たか
- 測量図だけで所有権界を断定していないか
用語ミニ辞典
登記事項証明書は、登記記録に記録されている事項を証明する書面です。登記簿謄本は作成方法が異なりますが、登記されている事項を公示する同じ効力を持つものとして案内されています。
表題部は、その土地の基本情報が記録される部分です。所在、地番、地目、地積を最初に読みます。地目は土地の主な使い道による区分です。たとえば、宅地や公衆用道路などがあります。
公図は、地図または地図に準ずる図面を指して使われる言葉です。地図は土地の区画と地番を示します。地図に準ずる図面は、土地の位置、形、地番を示す資料です。
筆界は、登記された土地を区切る線です。所有権界は、所有権の範囲を示す線です。この二つは同じとは限りません。
地積測量図は、登記申請時に提出される図面です。地積、面積の計算方法、筆界点間の距離などを読みます。
現況測量図は、今の塀・杭・建物などの状態を測った図面です。隣の土地の持ち主の立会いをしていないことが多く、境目が決まったことを示すものではありません。
確定測量図は、一般には、隣接地所有者などの立会いによる境界確認を得て作られた測量図として扱われます。
参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書(作成時点)
この記事で参照した法令(e-Gov法令検索): 不動産登記法
根拠・参考
