重要事項説明書 解説シリーズ

確定・現況・地積測量図の違いと売買重説での伝え方

更新: 2026年9月1日監修: 小野 海士(宅地建物取引士・不動産実務15年)
確定・現況・地積測量図の違いと売買重説での伝え方

売買対象地の資料に、確定測量図・現況測量図・地積測量図がそろうと、一見すると境界も面積も確認済みに見える。しかし、3種類は作成された目的も、隣地との立会いの扱いも同じではない。図面名だけで判断すると、契約前に伝えるべき未確定箇所や面積差異を見落としやすい。

この記事では、重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。(重説)を作成する宅地建物取引士が、各図面をどう読み分け、どの資料で境界確認状況を確かめるかを整理する。添付の有無だけで終わらせず、売買対象地の範囲、筆界、所有権界、登記簿地積と実測面積を別々に扱うための実務手順を示す。

アンちゃんアンちゃん机に3種類の測量図があります。地積測量図があるなら、境界まで確定していると見ていいんですか?

アンちゃんアンちゃん私もそこが不安です。確定測量図と現況測量図のどちらを、重説の説明の根拠にするんですか?

ケンさんケンさん図面の名前だけで決めないことだね。まず作成目的を分けて、次に隣接地との確認状況、境界標、確認書類を追う。地積測量図も確定測量図とは限らないんだよ。

確定測量図・現況測量図・地積測量図を同じ資料として扱わない

全日本不動産協会の解説書では、確定測量図は、道路を含む全ての隣接地について、隣接地所有者等の立会いによる境界確定を得て資格ある者が作製した図面として扱われる。一方、現況測量図は、国又は地方公共団体等が所有又は管理する道路との境界を除く立会いを得た図面として扱われ、確定測量図とは区別される。

地積測量図は、分筆登記等で添付され、法務局に申請書類として保管される図面である。地番区域名、方位、縮尺、隣接地を含む地番、地積と求積方法、筆界点間距離、座標関係、境界標がある場合の表示、測量年月日などを記録する図面だが、地積測量図であっても確定測量図とは限らない。

確定測量図と現況測量図について、全国一律の法令上の名称、必須記載事項、作成資格、法的な証明力は、今回確認した一次資料では確認できない。法定図面である地積測量図と同じ証明力があるかのように扱わず、表題、凡例、作製目的、測量者への確認を分けて行う。

測量図ごとに最初に確認する交点

図面作成目的・作成過程隣地との立会い実務上の読み方
確定測量図境界確定を得た図面道路を含む全隣接地確認書類と境界標を確認
現況測量図確定測量図と区別される図面公有道路境界を除く立会い境界確定の資料と決めない
地積測量図分筆登記等の申請書類図面ごとに個別確認登記簿地積・実測面積と照合

境界確認は図面の線ではなく、立会い・確認書類・境界標まで追う

確定測量図を受け取ったら、対象地に接する道路を含め、どの隣接地について立会いによる境界確定が得られたかを確認する。次に、筆界確認書などの確認書類の有無、対象隣接地、立会日、立会者の権限、境界標の現存を個別に照合する。筆界確認情報は法定添付情報ではないが、筆界関係登記で提供を受けることが一般的な取扱いとされる。

筆界確認情報には、現地立会いの上で筆界を確認又は承諾した旨、立会者の署名又は記名押印、確認された境界や測量時点の建物・工作物等を記載した現況平面図が含まれ得る。現況測量図も、現地の利用状況や工作物等を照合する資料として確認してよいが、境界確定を示す資料と決めない。記載範囲は図面ごとに確かめる。

筆界は、土地が登記された際に土地の範囲を区画する線で、所有者間の合意では変更できない。対して所有権界は所有権の範囲を画する線で、筆界と一致することが多い一方、一致しない場合もあり、所有者間の合意等で変更され得る。未確定箇所や図面間の差異は、どちらの線についての情報かを混同せずに整理する。

実務手順は、1. 図面の表題・測量年月日・対象地番をそろえる、2. 確定測量図は全隣接地と道路の立会い状況を追う、3. 確認書類と境界標を現地・資料で照合する、4. 地積測量図の地番・地積・筆界点間距離などを確認する、5. 登記簿地積、実測面積、現況を個別に比較する、の順が早い。

✅ 重要事項説明書の前に測量図で確認するチェックリスト

  • 確定測量図で道路を含む全隣接地の立会い状況
  • 筆界確認書などの確認書類の有無と対象隣接地
  • 立会者の署名又は記名押印と立会者の権限
  • 境界標の表示と現地における境界標の現存
  • 地積測量図の地番・地積・筆界点間距離の記載
  • 登記簿地積・実測面積・現況に差異があるか
  • 未確定箇所と図面間の差異を整理済みか

アンちゃんアンちゃん添付する図面を決める前に、登記簿地積と実測面積、それぞれの境界確認状況を分けて整理するんですね。

アンちゃんアンちゃん登記簿も読み違えると、地積測量図との照合が止まりそうです。資料を見ながら転記できると助かります。

ケンさんケンさんanken. なら、登記簿をアップロードするとAIが読み取れる。所有者などを見ながら、重説の登記記録の欄へ転記する作業に使えるんだね。

重要事項説明書では添付の有無より、判明した境界・面積の事実を整理する

宅地建物取引業法は、契約成立までに宅地建物取引士が法定の重要事項を記載した書面を交付して説明することを定め、図面が必要なときの交付も定めている(説明と書面交付を定めた宅地建物取引業法第35条宅地建物取引業法で、契約の前に買主・借主へ重要事項を書面で説明する義務を定めた条文。重要事項説明書(重説)の根拠となる規定です。第1項)。ただし、確定測量図・現況測量図・地積測量図を一律に添付すべき旨は、同条の列挙事項に明記されていない。

まとめると、実務者として押さえるべきは、図面名で確定と判断しないことだ。売買対象地の範囲、境界確認状況、未確定箇所、登記簿地積と実測面積の差異、図面間の不一致を契約前に整理する。記載先や説明方法は一律に決め打ちせず、契約条件と判明事実に即して専門家確認を行う。この確認作業は、anken. では登記簿をアップロードするとAIが所有者などを読み取り、重要事項説明書の登記記録の欄に転記できます。

出典: e-Gov法令検索法務省国土交通省

参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書 / 全日本不動産協会 不動産売買契約書 条項例集(作成時点)

この記事で参照した法令(e-Gov法令検索): 宅地建物取引業法

小野 海士の顔写真
小野 海士
代表取締役 / 宅地建物取引士
株式会社オッティモ・不動産実務15年。実務に基づき、宅地建物取引業法・関係法令に沿って監修しています。
監修元株式会社オッティモ

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