居住用財産の3,000万円特別控除、令和8年4月1日現在の基本
居住用財産を売る相談では、3,000万円の特別控除を前提に価格や手取りの話を進める前に、対象資産・譲渡期限・譲渡先を分けて確認します。令和8年4月1日現在の国税庁資料では、マイホームを売った場合、所有期間の長短にかかわらず、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
本記事は、令和8年4月1日現在の法令等に基づく国税庁No.3302を適用基準として、宅建業者が売主から何を聞き、どこで根拠を確認するかを整理します。
アンちゃんお客様から「3,000万円の特別控除は使えますか」と聞かれました。所有期間に関係なく使えるなら、居住していたことだけを聞けば足りますか?
ケンさんそこだけでは足りないね。譲渡所得から控除する制度だけど、まず売る資産が本人の居住用だったかを分ける。その次に、住まなくなった日からの期限と、誰に売るかを見る。
アンちゃん親族への売却もあります。売主の説明だけで対象と案内すると危ないですね。
ケンさんうん。国税庁No.3302を基準に、聞いた事実と確認日を残す。税額の結論まで仲介担当だけで決めない進め方が安全だよ。
居住用財産の譲渡に係る特別控除は、譲渡所得から差し引く仕組みです
この特例は、国税庁が「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」として案内している、所得税の譲渡所得に関する制度です。令和8年4月1日現在の法令等に基づく国税庁No.3302では、所有期間の長短にかかわらず、マイホームの譲渡所得から最高3,000万円を控除できると案内されています。
譲渡所得は、国税庁の案内では「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」で計算します。その譲渡所得から特別控除を差し引いた関係が、課税譲渡所得金額です。譲渡所得が3,000万円に満たないときは、控除額もその譲渡所得の金額までです。
制度を定める位置は、租税特別措置法の第六款「居住用財産の譲渡所得の特別控除」です。居住用財産を売ったときに譲渡所得から控除するルールを置く条文が、租税特別措置法第35条です。国税庁No.3302は、このほか譲渡所得の内容を定める所得税法第33条などを根拠法令等として掲げています。
宅建業者の実務では、「控除できる」と先に結論を出すのではなく、売主が説明した居住状況、住まなくなった日、売買相手を記録します。仲介時の確認は、申告判断の材料を整える作業です。適用を受けるには、一定の書類を添えて所轄税務署へ確定申告します。
売却する資産ごとの対象判定の入口
| 売却する資産 | 国税庁資料で示される入口 |
|---|---|
| 現に自分が住んでいる家屋 | 対象資産に含まれる |
| 以前住んでいた家屋 | 期限内の譲渡なら含まれる |
| 家屋とともに売る敷地・借地権 | 対象資産に含まれる |
| 取り壊した家屋の敷地 | 全要件を満たすとき |
最初に固めるのは、誰がいつ住んでいた家屋かです
対象資産には、現に自分が住んでいる家屋が含まれます。以前に住んでいた家屋も、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合は対象となり得ます。以前住んでいた家屋は、住まなくなった後にどのような用途に使用していても、この期限内の譲渡であれば対象資産の区分に含まれます。
家屋とともに売る敷地または借地権も対象資産に含まれます。ただし、売却時に2以上のマイホームを持つ場合は、主として住まいに使っていた家屋に限られます。店舗併用住宅では、原則として自分の居住用に使っていた部分が対象です。居住用部分がおおむね全体の90パーセント以上なら、全体を居住用に使っていたものとして特例を受けられます。
取り壊し後の敷地は、確認を一段深くします。譲渡契約を取壊しの日から1年以内に締結すること、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、取壊しから契約締結日まで貸駐車場などその他の用に供していないことが、国税庁が示す要件です。
よくある失敗は、以前に住んでいた家屋なら期限だけ見ればよいと扱うことです。取り壊した後の敷地には、契約締結までの期間や利用状況にも要件があります。家屋の有無、取壊し日、契約日、取壊し後の用途を同じメモに並べると、確認漏れを減らせます。
売主への確認から申告案内までの実務手順
譲渡先と過去の特例利用を、売買条件とは別に確認します
親子または夫婦など、特別の関係がある人への譲渡は対象外です。国税庁が示す特別の関係がある人には、生計を一にする親族、売却後に売却家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人が含まれます。売買契約の相手方だけでなく、売却後の同居関係まで確認の対象にします。
売った年の前年または前々年に、この3,000万円特別控除、またはマイホーム譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例を受けている場合は、原則として適用要件を満たしません。売った年、その前年または前々年にマイホームの買換えまたは交換の特例を受けている場合も同様です。売った家屋または敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例を受けている場合も、この特例の適用要件を満たしません。
また、この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋、一時的な目的で入居したと認められる家屋、主として趣味・娯楽・保養のために所有する別荘などには適用できません。居住実態、特別の関係がある人に当たるか、他の特例との関係は、事実関係ごとに結論が変わります。
住民票に記載された住所とマイホームの所在地が、売買契約日の前日に異なる場合などは、居住の用に供していたことを明らかにする戸籍の附票の写しなどを併せて提出します。売主には、申告資料の準備と税理士等への相談を早めに案内します。
アンちゃん確認日、住まなくなった日、譲渡先の関係を案件ごとに残せると、申告資料の案内まで追いやすいですね。
ケンさんそうだね。anken.なら、案件情報を一度入力して重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。や売買契約書など20種類の書類を自動作成できる。重要事項説明書と売買契約書では、当事者・金額・日付・物件の基本情報など両方に出る中核項目が連動するよ。
アンちゃん書類ごとの固有項目は、その書類で入力する形ですね。
ケンさんそのとおり。住所から自動取得できるのは用途地域都市計画法に基づき、地域ごとに建てられる建物の種類や用途を定めた区分。住居系・商業系・工業系などがあり、建てられる建物が変わります。とハザードで、対応データは拡大中だよ。登記簿や路線価図、重要事項説明書などは、アップロードするとAIが読み取る。今回の税務確認も、調べた根拠と日付を案件情報に残す意識が大事だね。
✅ 居住用財産の譲渡で売主に確認する項目
- 現に自分が住んでいる家屋の譲渡か
- 以前住んでいた家屋なら住まなくなった日の確認
- 家屋と敷地または借地権を同時に売るか
- 取壊し後の敷地なら取壊し日と契約日の確認
- 取壊し後から契約まで他用途に使っていないか
- 譲渡先が親子・夫婦など特別の関係にある人か
- 前年・前々年を含む他の特例の利用状況
- 住所相違時に居住実態を示す書類があるか
まとめ:控除額より先に、対象資産・期限・譲渡先を記録します
実務者として押さえるべきは、居住用財産の譲渡に係る特別控除が、譲渡所得から最高3,000万円を控除する仕組みであることです。そのうえで、現に住む家屋か以前住んでいた家屋か、敷地を同時に売るか、取り壊し後の利用があるかを分けて確認します。
令和8年4月1日現在の国税庁No.3302を基準に、住まなくなった日からの期限、親族など特別の関係がある人への譲渡、過去の特例利用を確認します。税額や適用の結論は個別事情で変わるため、詳細は専門家にご確認ください。調べた根拠と日付を残しておくと、次に同じ物件を扱う人が助かります。
参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 不動産売買契約書 条項例集 / 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書(作成時点)
この記事で参照した法令(e-Gov法令検索): 租税特別措置法 / 定める所得税法
