「特殊建築物」と「特定建築物」、内装制限で混同しないために
「特殊建築物」と「特定建築物」は、似た言葉でも同じ制度の用語ではありません。内装制限を説明する場面で用語を取り違えると、説明している規制の根拠法令までずれてしまいます。
重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。では、対象建築物の用途、規制内容、適用関係を、それぞれの法令上の定義に照らして整理することが出発点です。
アンちゃん内装制限を確認していて、説明案に「特定建築物」と書きかけました。建築基準法第35条の2の話なら、それでいいんですか?
アンちゃん用途は共同住宅です。建築基準法別表第1にも、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律にも似た用途が出てくるので、混ざりやすいですね。
ケンさんそこは分けよう。内装制限なら、まず特殊建築物と別表第1(い)欄の用途を確認する話なんだよ。バリアフリー法上の特定建築物を書けば、別制度の用語で説明することになる。
アンちゃん同じ共同住宅でも、確認する言葉と根拠法令が違うんですね。
特殊建築物と特定建築物の整理
| 整理する項目 | 特殊建築物 | バリアフリー法上の特定建築物 |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 建築基準法 | 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 |
| 定義を置く規定 | 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、旅館、共同住宅、工場、倉庫、自動車車庫等その他これらに類する用途に供する建築物 | 学校、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、ホテル、事務所、共同住宅、老人ホームその他の多数の者が利用する政令で定める建築物またはその部分。附属する建築物特定施設を含む |
| 内装制限との関係 | 別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物等について、壁および天井等の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないものとする規定がある | 移動等の円滑化に関する制度上の用語 |
| 確認の軸 | 用途が建築基準法上の定義・別表第1(い)欄に当たるか | 用途、特別特定建築物に当たるか、規制内容と適用関係 |
内装制限の説明案を作る前の確認手順
アンちゃんよくある失敗は、用途名が両方の法律に出てくるから、用途だけ見て同じ分類だと思ってしまうことですね。
ケンさんそのとおり。共同住宅のように重なる用途があっても、法令ごとに定義も規制内容も違う。用途名だけで制度を決めないことが大事だね。
アンちゃん重要事項説明書の作成では、内装制限の説明用メモと、バリアフリー法を確認するメモを分けておけばよさそうです。
ケンさんそれでいい。anken.では、登記簿をアップロードするとAIが所有者などを読み取り、重要事項説明書の登記記録の欄に転記できる。確認した制度名と根拠法令も、作成前に分けて整理しておくといいね。
✅ 内装制限の説明前に確認するチェックリスト
- 対象建築物の用途を資料に基づいて整理したか
- 特殊建築物の定義を建築基準法第2条第2号で確認したか
- 別表第1(い)欄に対象用途が掲げられているか
- 内装制限の根拠を建築基準法第35条の2で確認したか
- バリアフリー法上の特定建築物かを別途確認したか
- 制度名・根拠法令・規制内容を分けて説明するか
- 適用関係を各法令上の定義に照らして確認したか
特殊建築物と特定建築物は、根拠法令から分けて整理する
まとめると、特殊建築物は建築基準法の用語であり、同法別表第1には耐火建築物等としなければならない特殊建築物の用途が列挙されています。内装制限は、その用途と、壁および天井等の室内に面する部分の仕上げに関する建築基準法第35条の2を確認して説明します。
一方、バリアフリー法上の特定建築物は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律における用語です。同法には特別特定建築物や建築物移動等円滑化基準に関する規定もあるため、内装制限の説明へそのまま持ち込まず、制度名と根拠法令を分けて扱います。
この確認作業は、anken. では登記簿をアップロードするとAIが所有者などを読み取り、重要事項説明書の登記記録の欄に転記できます。
参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 重要事項説明書補足資料(令和7年4月) / 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書(作成時点)
この記事で参照した法令(e-Gov法令検索): 建築基準法 / 関する建築基準法
