盛土規制法の重説で確認したい区域・許可・届出
盛土規制法危険な盛土等による災害を防ぐため、盛土や切土の規制区域を定めた法律。区域内では造成に許可が必要になる場合があります。に関する確認は、物件が宅地造成等工事規制区域または特定盛土等規制区域にあるか、そして予定・既存の工事に許可や届出の確認事項があるかを切り分けるところから始まります。重説宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。では、区域名だけでなく、工事に関する手続上・技術上の制限まで見落とさないことが大切です。
この記事では、盛土規制法を法令に基づく制限として説明する際に、どこを、なぜ、どう行政調査するかを整理します。
アンちゃん盛土規制法って、物件に盛土が見当たらなければ、重説では気にしなくていいんでしょうか?
ケンさんそこは早合点したらあかん。まずは物件が宅地造成等工事規制区域か特定盛土等規制区域かを確認する。そのうえで、盛土・切土・土石の堆積に関する工事や手続を調べるんや。
アンちゃん区域に入っているかどうかが、最初の分かれ道なんですね。
ケンさんその通り。国土交通省は、重説で説明する法令に基づく制限の一覧に、盛土規制法に係る工事の許可や届出等を掲載している。盛土規制法は、重説の法令上の制限として確認する論点やで。
まず確認するのは「区域」と「工事」の二層
盛土規制法は令和4年5月27日公布、令和5年5月26日施行です。土地の用途にかかわらず、盛土等によって人家等へ被害を及ぼし得る区域を、都道府県知事等が指定する制度です。指定される区域には、宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域があります。
宅地造成等工事規制区域は、市街地・集落とその周辺など、人家等が存在するエリアとして示されています。特定盛土等規制区域は、市街地・集落等から離れていても、地形等の条件から人家等に被害を及ぼし得るエリアです。土地の用途だけで区域該当性を判断しないことが重要です。
宅建業法の「取引前に、法令による利用・工事上の制限を説明する」ルールとして、宅地建物取引業法第35条宅地建物取引業法で、契約の前に買主・借主へ重要事項を書面で説明する義務を定めた条文。重要事項説明書(重説)の根拠となる規定です。第1項第2号があります。国土交通省の一覧では、この説明対象に、宅地造成等工事規制区域内の宅地造成に関する工事の許可、特定盛土等規制区域内の特定盛土等または土石の堆積に関する工事の許可・届出等が掲載されています。
区域ごとに見る、国土交通省資料が示す主な政令上の許可対象規模
| 工事・状態 | 宅地造成等工事規制区域 | 特定盛土等規制区域 |
|---|---|---|
| 崖を生ずる盛土 | 高さ1m超 | 高さ2m超 |
| 崖を生ずる切土 | 高さ2m超 | 高さ5m超 |
| 崖を生じない盛土 | 高さ2m超 | 高さ5m超 |
| 盛土・切土の面積 | 500㎡超 | 3,000㎡超 |
| 土石の堆積 | 最大堆積高さ2m超かつ面積300㎡超、または最大堆積面積500㎡超 | 最大堆積高さ5m超かつ面積1,500㎡超、または最大堆積面積3,000㎡超 |
| 許可対象規模未満の一定規模の工事 | — | 宅地造成等工事規制区域の基準値を届出対象規模として示す |
行政調査で確認する順序
アンちゃん区域、規模、許可内容、技術基準まで、調査メモを物件ごとに残しておくと重説へ整理しやすそうです。
ケンさんええ視点や。許可を受けた工事では、計画を変えると変更許可が必要になる場合があり、軽微な変更は届出の仕組みもある。特定盛土等規制区域の許可工事では、完了後に技術基準への適合に関する検査を申請し、適合なら検査済証が交付される。
アンちゃん書類も情報も散らばりやすいですね。
ケンさん案件情報を一度入力して、重説や売買契約書など約20種を連動して作るならanken.も使えるで。登記簿・路線価図・重説などはアップロードするとAIが読み取る仕組みや。住所からは用途地域都市計画法に基づき、地域ごとに建てられる建物の種類や用途を定めた区分。住居系・商業系・工業系などがあり、建てられる建物が変わります。・ハザードを自動取得できて、対応データも拡大中やから、盛土規制法の行政調査とは分けて管理するとええ。
まとめ|区域確認を起点に、工事と手続をつなげて説明する
まとめると、盛土規制法では、まず宅地造成等工事規制区域または特定盛土等規制区域への該当性を、所管行政庁が保有する資料で確認します。その後、盛土・切土・土石の堆積が許可または届出の対象となる規模かを、条例による基準の引下げも含めて確認します。
実務者として押さえるべきは、許可の有無だけではありません。変更許可・軽微変更の届出、完了検査・中間検査・定期報告、許可内容の公表情報、擁壁・排水施設その他の技術的基準まで、物件と工事の情報を結び付けて調査・説明することです。区域、工事、手続の順で確認すると、重説での見落としを防ぎやすくなります。
出典: 国土交通省 / e-Gov法令検索 / 官公庁(nlftp.mlit.go.jp)
参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書(作成時点)
