景観法の重要事項説明で確認する区域・行為制限・指定物件
景観に関するルールは、物件がどの区域にあるか、何をしようとしているかによって確認点が変わります。宅建業者は、景観計画区域や指定建造物・樹木などの有無を調べ、買主等が予定する建築・改修にどのような手続や制限があり得るかを重説宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。で説明できる状態にしておくことが重要です。
国土交通省は、法令上の制限の概要として、景観法の景観計画区域および景観重要建造物・景観重要樹木の現状変更の規制などを掲げています。
アンちゃん景観法って、街並みをきれいにする話ですよね。重説では、どこから確認を始めればいいですか?
ケンさんええ質問や。まずは対象不動産の所在地を、自治体の景観計画図等の区域表示と照合する。物件が景観計画区域に入るかどうかが、調査の出発点やで。
アンちゃん区域内だったら、建築やリフォームは全部同じルールになるんでしょうか?
ケンさんそこは決めつけたらあかん。景観計画には区域や行為の制限が定められ、具体的な基準は区域・地区区分ごとに確認する必要があるんや。所在地の照合だけで調査を終えないことが大事やで。
区域確認の次は「予定行為」と「基準」を重ねて見る
景観行政団体は、景観計画の中で景観計画区域と、良好な景観をつくるための行為制限を定めることができます。したがって、区域図で所在地を確認した後は、その物件が属する区域・地区区分の景観計画本文や基準表を確認します。区域と行為制限を定める仕組みです(景観法第8条)。
景観計画区域内では、建築物の新築・増築・改築・移転、外観を変える修繕・模様替え・色彩変更、工作物の新設等、開発行為その他の定められた行為をする前に、景観行政団体の長へ届出が必要です。つまり、工事を始める前に内容を知らせる手続です(景観法第16条第1項)。
届出の対象は法定類型だけではありません。景観行政団体は条例で届出が必要な行為を定めることができるため、景観条例と景観計画の両方で、予定行為が届出対象かを確認します。
景観計画では、建築物・工作物の形態意匠、色彩その他の意匠、高さの上限・下限、壁面位置、敷地面積の最低限度などを、行為制限として定めることがあります。全国一律の数値を当てはめるのではなく、対象地の区域・地区区分に対応する基準を読む必要があります。
景観法の調査で重ねて確認する項目
| 確認すること | 確認の中身 | 重説で整理する観点 |
|---|---|---|
| 所在地と区域 | 対象不動産の所在地を景観計画図等の区域表示と照合する | 景観計画区域に所在するかを確認する |
| 予定行為と届出 | 建築物の建築等、外観変更、工作物の新設等が届出対象かを景観計画・景観条例で確認する | 買主等の予定行為に届出が必要となり得るかを整理する |
| 景観形成基準 | 形態意匠、色彩、高さ、壁面位置、敷地面積などの基準を区域・地区区分ごとに確認する | 対象地に適用される行為制限を確認する |
| 景観地区 | 景観地区の指定と、建築物の形態意匠制限および認定の要否を確認する | 建築等の前に認定が必要となるかを整理する |
| 重要建造物・重要樹木 | 指定一覧、標識、台帳その他の公表資料で指定の有無を確認する | 増改築・除却・伐採・移植等の許可に関わる点を確認する |
景観計画区域内で予定行為を確認する流れ
アンちゃん景観地区なら、景観計画区域の届出だけを見れば足りると思っていました。
ケンさん景観地区は別に確認がいるで。市町村は都市計画で景観地区を定めることができて、建築物の形態意匠の制限や、必要に応じて高さ・壁面位置・敷地面積の制限も定められるんや。
アンちゃん建築するときは、どんな手続になるんですか?
ケンさん景観地区内で建築物の建築等をする人は、計画が形態意匠の制限に合っているという市町村長の認定を、あらかじめ受けなあかん。認定証の交付後でなければ、原則として工事はできへん仕組みやで(景観法第62条・第63条)。
アンちゃん景観重要建造物や景観重要樹木も、物件ごとに指定を確認しますね。
ケンさんそのとおり。景観重要建造物は増築・改築・移転・除却や外観変更に、景観重要樹木は伐採・移植に、原則として許可がいる。指定一覧だけでなく、指定を示す標識や台帳その他の公表資料も確認対象や。指定の有無で予定行為の進め方が変わり得るから、見落としたらあかん。
アンちゃん調査した内容は、案件ごとに整理しておくと重説作成時に確認しやすそうです。
ケンさんそうやな。anken.では、住所から用途地域都市計画法に基づき、地域ごとに建てられる建物の種類や用途を定めた区分。住居系・商業系・工業系などがあり、建てられる建物が変わります。・ハザードのみを自動取得できて、対応データは拡大中や。登記簿・路線価図・重要事項説明書などは、アップロードするとAIが読み取る。案件情報を一度入力すれば、重説・売買契約書など約20種を自動作成・連動できるから、景観法の個別調査結果も案件情報とあわせて整理しやすいで。
まとめ:景観法は「区域・行為・個別指定」を順に確認する
まとめると、景観法の重説調査では、まず対象不動産が景観計画区域に所在するかを景観計画図等で照合します。次に、買主等が予定する建築・外観変更・工作物の新設等について、景観計画と景観条例に照らして届出対象行為かを確認し、形態意匠・色彩・高さなどの景観形成基準を確認します。
さらに、景観地区では建築物の形態意匠制限と市町村長の認定を確認し、景観重要建造物・景観重要樹木では指定の有無と許可を要する行為を確認します。実務者として押さえるべきは、所在地、予定行為、区域・地区ごとの基準、個別指定を切り分けて確認することです。
参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書 / 全日本不動産協会 重要事項説明書補足資料(令和7年4月)(作成時点)
