重要事項説明書 解説シリーズ

古都保存法の区域規制と重要事項説明で確認したい点

更新: 2026年7月22日監修: 小野 海士(宅地建物取引士・不動産実務15年)
古都保存法の区域規制と重要事項説明で確認したい点

古都の景観や自然に関わる土地では、建築や造成の前に確認すべき規制が重なります。古都保存法は、取引対象地が歴史的風土保存区域や歴史的風土特別保存地区に入るかを調べ、予定する利用に届出・許可が関わるかを重説宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。で整理するために重要です。

とくに歴史的風土特別保存地区では、行為に原則として許可が必要となるため、区域指定と予定行為を切り離さずに確認することが実務の出発点です。

アンちゃんアンちゃん古都保存法って、京都や奈良の話という印象です。物件調査では、まず何を見ればいいですか?

ケンさんケンさんまずは対象地が歴史的風土保存区域か、その中でも歴史的風土特別保存地区かを確認するんや。特別保存地区なら、重説の「法令に基づく制限」として許可制を説明することになる。

アンちゃんアンちゃん保存区域に入っていたら、全部同じように許可がいるんですか?

ケンさんケンさんそこは分けて考えるで。歴史的風土保存区域では一定の行為に事前届出が必要で、特別保存地区では一定の行為が原則許可制や。区域の名前だけで判断せず、どちらに入るかを確認するのが大事やな。

古都の歴史的風土とは何を守る制度か

古都保存法は、後代へ引き継ぐべき古都の歴史的風土を保存するため、国などの特別な措置を定める法律です。ここでいう歴史的風土とは、歴史上意味のある建造物や遺跡などと、その周囲の自然環境が一体となり、古都の伝統・文化を形づくっている土地の状態をいいます(この意味を定めているのが古都保存法第1条・第2条第2項です)。

同法でいう古都には、京都市・奈良市・鎌倉市のほか、政令で定める市町村が含まれます。国土交通省は現在の対象を8市1町1村、計10市町村として示しています。

国土交通大臣は、歴史的風土を守る必要がある土地を歴史的風土保存区域に指定できます。指定に当たっては、関係地方公共団体などの意見を聴き、関係行政機関の長と協議する仕組みです(区域を指定できることを定めた古都保存法第4条です)。その保存区域のうち、特に保存上重要な部分を、都道府県知事または指定都市の市長が都市計画で定めるのが歴史的風土特別保存地区です(その地区の位置付けを定めた古都保存法第6条第1項です)。

区域ごとに確認する行為制限の整理

区域区域内で確認する行為手続・行政上の扱い
歴史的風土保存区域建築物等の新築・改築・増築、宅地造成その他の土地形質変更、木竹伐採、土石類採取、水面の埋立て・干拓、屋外での土石・廃棄物・再生資源の堆積等あらかじめ府県知事(指定都市では市長)への届出が必要。保存上必要な場合、助言または勧告が行われ得る。
歴史的風土特別保存地区建築物その他の工作物の新築・改築・増築、宅地造成・開墾その他の土地形質変更、木竹伐採、土石類採取、建築物等の色彩変更、屋外広告物の表示・掲出、水面の埋立て・干拓、屋外での土石・廃棄物・再生資源の堆積原則として府県知事の許可が必要。通常の管理行為、軽易な行為その他政令で定める行為、非常災害のための応急措置、都市計画決定時に既に着手していた行為には適用除外がある。

古都保存法を重説へつなぐ調査フロー

対象地を所管する地方公共団体の都市計画図書・GIS・縦覧図で、歴史的風土保存区域と歴史的風土特別保存地区の指定を確認する。
区域が確認できたら、取引対象地で予定される建築、造成、伐採、色彩変更、広告物の表示・掲出などの行為内容を整理する。
特別保存地区では、予定行為が原則許可の対象か、通常の管理行為や軽易な行為などの適用除外に当たるかを、許認可担当窓口へ確認する。
重説では、特別保存地区の指定の有無と、対象不動産に即した許可制の概要を説明する。
実務ポイント|区域図だけで調査を終えない
特別保存地区内では、建築・造成・伐採だけでなく、色彩変更や屋外広告物の表示・掲出も原則として許可の対象です。「特別保存地区にある」ことと「予定行為に許可が必要か」は、行為内容と適用除外の有無まで確認して初めて整理できます。 個別の許可可否や適用除外の判断は、所管行政庁の確認が必要です。

アンちゃんアンちゃん調査では、都市計画図書やGISで区域を見て、担当窓口にも予定行為を伝えて確認するんですね。重説には、特別保存地区の指定と許可制の概要を対象地に合わせて書く、と。

ケンさんケンさんその整理でええ。京都市なら、景観情報共有システムや風致保全課備付けの縦覧図で詳細な区域範囲・境界線を確認する案内がある。古都保存法に基づく許可・指導等は同課が所管しとる。

アンちゃんアンちゃん調査資料や重説の作成まで進むと、案件情報の転記漏れも気になります。

ケンさんケンさんanken.なら、住所から自動取得できるのは用途地域都市計画法に基づき、地域ごとに建てられる建物の種類や用途を定めた区分。住居系・商業系・工業系などがあり、建てられる建物が変わります。・ハザードのみで、対応データは拡大中や。古都保存法の区域指定は都市計画図書や窓口で確認する。登記簿・路線価図・重要事項説明書などはアップロードするとAIが読み取り、案件情報を一度入力すれば重説・売買契約書など約20種を自動作成・連動できるで。

まとめ|指定確認から予定行為の確認までを一本につなぐ

まとめると、古都保存法の調査では、まず取引対象地が歴史的風土保存区域または歴史的風土特別保存地区に指定されているかを、都市計画図書・GIS・縦覧図と所管窓口で確認します。保存区域では一定行為の届出、特別保存地区では一定行為の原則許可という違いを押さえることが必要です。

実務者として押さえるべきは、古都保存法第9条第1項による特別保存地区内の許可制が、宅地建物取引業法上の重要事項説明における法令に基づく制限として整理されている点です。重説では、区域指定の有無と許可制の概要を、対象不動産と予定する土地利用に即して説明することで、買主・借主が将来の建築・造成・伐採などに関わる制限を把握できるようにします。

出典: e-Gov法令検索国土交通省自治体(city.kyoto.lg.jp)

参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 重要事項説明書補足資料(令和7年4月) / 全日本不動産協会 重要事項説明書(売買編)解説書(作成時点)

小野 海士の顔写真
小野 海士
代表取締役 / 宅地建物取引士
株式会社オッティモ・不動産実務15年。実務に基づき、宅地建物取引業法・関係法令に沿って監修しています。
監修元株式会社オッティモ

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